つたえる

高崎市山名町 地域の繋がりが生み出す表現、”発信拠点”としての高崎市

山名町で『表現者』として活動するrisa kurodaさんへインタビュー。漫画本を出版した経験をもつ彼女は、この街でのクリエイティブな活動の幅を広げるべく挑戦を続けている。自然豊かな地域でつくる活発なコミュニティと表現活動の関係性とはどのようなものか? 人の繋がりと高崎の未来について、想像してみよう

2019.12.09

暮らしと表現

『高崎で暮らす』でも何度か取り上げている山名地域の風景 美しい自然と、人の営みがこの街にあります (撮影:risa kurodaさん)

高崎市と表現

高崎市の表現。映画や音楽などの芸術、また、“商都”らしい様々な広告やプロダクションには「この街の表現」を感じることができる。特に芸術作品や地産地消の商品には、この街の豊かな自然や「だるま」「観音像」などのシンボルからイメージされたアイディアが多い。地域の環境が柔軟な感性を育んでいることが伺えるだろう。

しかしながら、平成22年に総務省が行った「10万人当たりの芸術家人口」調査結果を見ると、群馬県在住の芸術家人口は平均値を下回る約156人という結果であった。高崎市をはじめ、群馬県の暮らしはまだまだ表現活動の場としてのポテンシャルを秘めているのではないか。今後一層、この街での表現活動の盛り上がりに期待したい。

 

 

今回取材をお願いしたのは、この街で活動する表現者・risa kurodaさん 新たに本を制作したばかりの彼女に「表現とこの街」についてお伺いしました!

『私の本棚』

高崎市山名町。神社を中心とした地域コミュニティのある街にて、『表現者』として活動するrisa kurodaさんへインタビューを行った。漫画本を出版した経験をもつ彼女は、今年10月に町民に愛されながらも閉店となったカフェ&ギャラリー『yama na michi』にて展示『私の本棚』を開催。自身の著作も含めた “人生に深く関わった本” を紹介する企画を行うなど、この街でのクリエイティブな活動の幅を広げるべく挑戦を続けている。

自然豊かな地域でつくる活発なコミュニティが、自身の表現活動に深く関わっていると話すrisa kurodaさん。高崎の街で、地元で表現活動をする意味とは何か? 彼女の発信を通じて、人の繋がりと高崎の未来へ想いを巡らせてみよう。

今回はインタビューの最後に、risa kurodaさんの作品もご紹介しております。この街での挑戦は、まだまだ始めたばかりという彼女。表現者としての目線で「高崎で暮らす」ことを語っていただきました!

risa kuroda

risa kurodaさん撮影の「山名町の風景」写真 彼女の詩や写真の世界観を感じながら、インタビューをお楽しみください (撮影risa kurodaさん)

表現の道

高崎市出身の表現者として、地元山名町を中心に活動しているrisa kurodaさん。現在は詩や写真、イベントでのお菓子販売などを行っているという。彼女がインタビュー全編を通して語ってくれたテーマは“繋がり”について。まずはrisa kurodaさんの子供時代から漫画家を目指すまでの、今までの“繋がり”について伺ってみよう。

「生まれも育ちも山名町。自然に囲まれた子供時代を過ごしました。小さい頃から表現することが当たり前にある生活で、小学生の時から『漫画家』になりたいと思っていましたね。当時は(サブカルチャーに)寛容じゃない時代だったと思うのですが、家族は『好きなものを好きと言っていい』という人たちばかりだったので、アニメや漫画・映画・音楽に触れながら自由に育ちました」

「高校時代は特に“音楽漬け”の日々を過ごしていて、自分で演奏をしたりライブハウスへ行ったりしていました。振り返ってみると、この街には“気軽に行けるイベント”が多かったんですね。『野外音楽祭』や『高崎映画祭』、学生には無料のイベントもあって自由に表現を楽しむことができました」

子供時代から絶え間なく表現活動に触れてきたというrisa kurodaさん。高校時代に情熱を注いでいた音楽活動は「将来音楽の道へ進もうと思っていました」と話すほど。しかしながら、彼女は音楽の専門学校入学直前にフリーターとして高校卒業することを決めている。「音楽をするために、音楽のことだけを学ぶ場所に行くべきなのか?」……そんな悩みに足を止めた彼女は、その後の人生を大きく左右する”葛藤”と向き合うことになる。

「(音楽の道へ進むために)世界の色んなことを学びたい、と社会の荒波に出た私ですが、うまくいきませんでしたね。『私って何がしたいんだろう、何をすべきなんだろう』という葛藤、自分の心の闇と向き合う時間を過ごしました。気が付いた時には “表現を楽しめない自分・自信のない自分” がいて……一度、『音楽を辞めよう』と決めるんです」

「それでも『表現したい』という気持ちは消えなくて…葛藤を心に抱いたまま、改めて“⾃分の表現”を模索し始めました。そんな時に生きる勇気をくれた漫画と出逢ったんです。当時の私はその作品と出逢えた事で、大袈裟でも何でもなく、生きることを許され心を救われたと感じました。『生きることの意味や希望を与えてくれる、そんな作品を私も生み出したい。人の心に届けたい。』――その想いをきっかけにして、『漫画家』という⾃分の原点に⽴ち 返った表現活動を始めるんです」

その後、漫画家となるために東京へ活動拠点を移し、著作『その胸の赤を(2014,幻冬舎コミックス)』を出版したrisa kurodaさん。家族と繋がり / 愛情や許しがテーマとして盛り込まれた作品をつくるという夢を叶え、再び地元へ戻ってきたという。

「あの時の葛藤は今も続いていて、だからこそ私の表現活動ができているんだと思います。悩む私の“心の声”を聴くことを、“誰かに寄り添う祈り”のような作品を生み出すことに繋げたい。漫画、音楽、写真、小説、詩、料理……様々な表現手法を模索し続ける“葛藤”を楽しみながら、表現活動を続けていきたいと思うのです」

 

著作も含めた本の展示『私の本棚』 risa kurodaさんの人生をぎゅっと詰め込んだような展示は「物語や言葉が今の自分に与えた影響」など、読んだ本との自分の繋がりを丁寧に解説しています。今後も開催する機会があれば、とrisa kurodaさん。次回の展示を楽しみにしている編集長です。

表現活動の場

今までの道のりとこれからの活動について話をしてくれたrisa kurodaさん。続いて「地元に戻ってきてから感じたこと」についてお話をきいてみた。冒頭で紹介したように、芸術家人口の少ない群馬県。risa kurodaさんはこの街に、表現活動の場としてどんな想いを抱いているのだろうか。

「『群馬は田舎だから、表現活動はできない』と思う人は多いですよね。 地元に帰ってきてからよく感じることです。私も漫画家時代には群馬をでて東京に住んでいましたし、都会への憧れや『田舎じゃ何もできない』という気持ちもありました。だからこそ、『本当は地元で暮らしたいのに都会へ行く人』や『地元の良さを知らないままの若い人』を見ると、昔の私を見ているように感じます。都会も田舎も良さがあって、地元の良さを知らないだけなんじゃないかなって。私は『田舎じゃ何もできない』と悩む人・迷う人たちを支えていければと考えています」

「私が高校時代によくライブへ行っていたバンド『G-FREAK FACTORY』は、結成から20年以上地元で活動し続けているミュージシャンです。彼らが“地元で活動を続ける理由”を知ったのは、私が山名町へ帰ってきた年の音楽祭でのことでした。『地元群馬から“田舎・ダサい”というイメージを無くしたい。自分たちがカッコイイことをすることで、地元に住むことに誇りを持てるようなメッセージを伝えたい』とコメントを出していて。私も同じ想いを抱いていることに気が付きました」

「自然の中――地元の川や山、田んぼのある場所で生活してきたからこそ、その場所でモノが生まれていくは楽しいですね。“理にかなっている”と感じています。地元で、田舎で表現活動をしたい人のきっかけになれるよう、私もメッセージを伝えていきたい。それが表現をしたい人たちの支えになるんじゃないかと思うのです」

先輩から受け取ったメッセージであり、この街で表現を志す若者へ伝えたい想いは、新たなこの街の魅力となっていくだろう。表現活動の場としての高崎市。そんな文化を生み出す想いを受け取った。

 

表現のカタチにはこだわらず、想いを伝えることに注力するrisa kurodaさん。確かに、メッセージを受け取るのは私たちの心次第ですね!この「インタビュー」という表現からも、“何か”大事なものをGETしていただければ幸いです

見つけたものは

こちらは新たに制作したという写真と詩を合わせた作品集『euphoria』 risa kurodaさんが仕事の中で見つけた“ハート形のトマト”に想いをのせて、読む人へ詩のメッセージを届けてくれます(ご興味のある方は、ぜひrisa kurodaさんのインスタグラムへDMしてみてくださいね)

愛すべき居場所

“人の繋がり”を表現テーマとすることが多いrisa kurodaさん。彼女の漫画作品『その胸の赤を』でも、田舎のコミュニティに馴染めない主人公が“人の繋がり”の中で成長していく過程が描かれている。「この街では、漫画の世界を追体験しているような気持ちになることが多くて……」と話す彼女に、地域で感じた“つながり”と表現活動がつながった体験を語っていただいた。

「私の漫画はトマト農家を舞台にしたお話でしたが、実は地元の縁でトマト農家さんへ取材させていただく機会がありました。連載時はハウスで写真を撮ったりするだけだったんですが……その後、アルバイトでトマトをもぐ経験もさせていただいて。漫画家時代にイメージで描いていたところを、実体験することができたんです。そうした貴重なインプットがチャンスとなって、トマトの写真と詩をまとめた本を新たにつくることができました。トマト農家さんのご縁、本をつくる私に協力してくれた人とのつながりを体感しました」

「本当に田舎は“人の繋がり”が強いですね! イメージ通りでしたし、それ以上の部分もありました。“人の繋がり”って、面倒で煩わしいところもあると思います。家族でも他人でも、人と交わるというのは大変なことです。でも、必ず人は一人で生きていけないし、今の時代・これからの未来にとって“誰かと縁を結びながら生きていくこと”は豊かなことなんじゃないでしょうか? 仕事だけの付き合いとか、SNS上の繋がりにはないものがある。私はそこに、田舎のいいところを感じました」

「“人の繋がり”によって展開する力は凄い」と実感したことを話すrisa kurodaさん。顔を知っている人からの応援、暮らしを共にする仲間のサポート――自身のイメージしていた以上に、この街の繋がりは表現活動の支えとなっているという。

「田舎や地方・自分の生まれ故郷をポジティブに捉えていけたら良いなと思います。今の自分が立っている場所を、愛していければ。今いる場所が“本当の居場所”だと思えない人も、人と対話をすると糸口が見えたりするんじゃないかな。私は、人と人とが心を寄せ合って生きられる場所が世界中にできたらいいと思いますし、そういう想いを伝えていくためにモノを生み出して・発信していきたいです。例えば、今は生きづらい場所にいると感じている人にも『一人じゃないんだよ』と伝えられるような……“人と繋がって”物を生み出すことで、“人と繋がれる”愛すべき世界をつくれればと思います」

この街は、あなたにとってどんな居場所だろうか? risa kurodaさんのメッセージを受け取って、私たちもこの街を見つめなおしてみよう。“人と繋がる”表現が後押ししてくれる、“私たちの愛すべき場所”づくり――暮らしやすい街の実現には、そうした温かい力が必要なのだ。

 

今回はrisa kurodaさんの作品、その一部もご紹介~!“可愛いハート型のトマト”との出会いなどをお話いただきました。

*写真・詩の作品集『euphoria』より「はじめて撮影したトマト」
「一般では販売できない“規格外”のトマト。そのハートの形にハッとしました。仕事中にこっそり写真を撮りためて、3年。こうして一冊の本にまとめることができて嬉しく思います」

*『焼菓詩mass(ミサ)』のほろ苦いチョコレート菓子「かなしみのみ」
「身体にゆっくり作用する、焼菓詩――私はこうした表現によって自分の苦しみをうまく放出しているのですが、(それができずに)悩む人へ寄り添いたいと祈りを込めて始めた表現の1つです。ビーガンの方でも食べられる、素朴なお菓子。人を許したり、認めたり、受け入れることができる作品になればと思います。お菓子を食べながら、詩を読んでみてください。――そしてあなたの心に、そっと寄り添ってみてほしいのです」

*企画『私の本棚』 risa kurodaさんの本たち
「私はモノを書き留めることが好きで、常にこの本棚のイメージは私の中にありました。『幼い頃のこの作品が、今の自分をつくっているな』とか、『この作品からパワーをもらったな』ということを常々大事にしているんです。色々な方が(企画で)本棚を見て、『私の本棚』とその方の本についての話をしてくれました。きっと、触れた人の心の書棚を開けることができたんだと思います。『表現で人と繋がる』という、表現することの核となる“大切なもの”を肌で感じる時間となりました」

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この記事に関連するメンバー

西 涼子

どうも、こんにちは。編集長の西です。
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