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群馬県 群馬専門宣伝販売員が語る、地域を輝かせる“人”の魅力

高崎を中心に群馬県全域の魅力を発信するフリーの販売員・群馬の鶴子さんにインタビュー!フリーの販売員を始めたきっかけや群馬の魅力発信を行う理由をお聞きし、街への想いを語っていただきました。

2023.01.13

高崎市の魅力

新たな運営体制になってようやく1年! いつもご覧いただきありがとうございます。

これまで『高崎で暮らす』では、人を通じて見えてきた街の魅力をお伝えしてきた。交通の要衝であり商都として栄えてきた街の歴史、市民の手で育まれてきた多様な文化、豊かな自然を活かした農業やレジャーなど、街を楽しむ人の数だけ魅力的な“高崎”があるように思う。

あなたの暮らしと関わる街には、どんな魅力があるだろうか――そんなことを考えながら、ぜひこの記事を読んでみてほしい。

群馬専門宣伝販売員『群馬の鶴子』

群馬と言えば鶴、鶴と言えばの「鶴子さん」に取材させて頂きました!

今回取材をお願いしたのは、高崎を中心に群馬県全域の魅力を発信するフリーの販売員・群馬の鶴子(ぐんまのつるこ)さん。県民にはお馴染みの『上毛かるた』の読み札として知られる「鶴舞う形の群馬県」をモチーフにした鶴の被り物を着け、県内の魅力的な商品や店舗、イベントなどを紹介する活動を行っている。

「群馬専門宣伝販売員」「群馬完全えこひいき」と、とにかく“群馬推し”な鶴子さん。フリーの販売員を始めたきっかけや群馬の魅力発信を行う理由をお聞きし、街への想いを語っていただいた。

県内の有名販売員・群馬の鶴子さんを徹底取材!売り場では聞けないアレコレをたくさん質問させていただきました~

販売員としての始まり

とにかくトークが上手い鶴子さん 長時間の取材があっという間に終わってしまいました

群馬県生まれ、群馬県育ち。「鶴舞う形の群馬県」にちなんで、鶴の被り物をしながらフリーの販売員として活動する鶴子さん。まずは販売員としてのルーツを伺った。

「学生時代の夢は舞台女優になること。毎日舞台雑誌を読み、劇団のオーディションに応募し、とにかく夢に向かって努力する日々を過ごしていました。美術短大卒業後も、地元でフリーターをしながら都内のオーディションに参加。交通費や受験費がかさむので、アルバイトをはじめようと思い、当時前橋の街中にあった大型デパートの書籍コーナースタッフに応募したんです。……そしたら私、“書籍”と“書道”を間違えたみたいで!(笑)私以外に応募者のいなかった、二坪くらいの寂しい書道コーナーのオープニングスタッフになっちゃったんですよ」

他に応募者もいないからと、半ば無理やりアルバイトをすることになったと話す鶴子さん。馴染みのない分野の仕事に戸惑ったものの「やるしかない!」と前向きに取り組んだ。

「学校で習った筆や顔料の美術知識と、来店した書道家の先生を質問攻めにして得た書道知識で接客をしていました。先生も教えるのが好きだから、初心者の私に筆の選び方や墨の違いを丁寧に解説してくださって、そのお話を元にお客様に合わせた商品をオススメしていましたね。それでも来店者数はなかなか増えなくて、色んな人に書道売り場の話をして遊びに来てもらいました。合コンで『書道用品を販売しています!』って自己紹介をしたりね(笑)。次第に家族や友だちの知り合い、孫から『合コンで会った子が書道用品を売ってるらしい』と話を聞いた“書道が趣味のおじいちゃん、おばあちゃん”がお店に来てくれるようになり、少しずつ口コミで売り場が盛り上がっていきました」

来店者数が増え、売り上げも増加。着々と成長を続ける書道コーナーに対し、セールの企画も持ち上がった。

「書道コーナーがセールを開催することになった時は、顔が分かるお客様宛に手書きでオススメ商品やコメントを添えたDMをお送りしました。イベント当日、どれくらいのお客様がいらっしゃるかドキドキしましたが、10時オープンと同時に多くの方がDMを手に振りながら来てくれたんです!ひっきりなしに呼ばれて、休憩に行けないほど忙しい一日でしたが、おかげさまでその日の売上は約300万円。寂しい売り場が多くの人に喜んでもらえる場所になったことに感動しましたし、商品と人を結びつける販売員の仕事って面白い!と実感した経験でした」

波乱万丈の道のり

オリジナルの鶴の被り物にもストーリーがあるんです ぜひ鶴子さんに聞いてみてくださいね!

「オーディションに挑戦するのは25歳までと決めていた」という鶴子さんは、その後『高崎高島屋』のアートグッツコーナー販売員として就職。本格的に販売員としての道を歩み始める。

「アルバイトでの経験を活かして販売員として数年間勤め、結婚と出産を機に退職。その後は『子育てと仕事を両立するために、自宅でできる仕事をしよう』と考え、販売員の仕事から離れた時期がありました。自宅サロンを始めようとフットケアの資格を取得すると、本部の方から『あなたは講師業の方が向いている』と言われ、いつの間にか全国を回るスクール業務を仕事にしていました」

この選択が「人生で一番の黒歴史で、辛い時期の始まり」だと話す鶴子さん。業績は好調だったものの、仕事と育児の忙しさで家庭は崩壊寸前。人間関係のトラブルが重なり、最後は失業に陥る事態になったという。

「翌年先までびっしり埋まっていたスケジュールが、突然白紙になった時のことは忘れられません。毎日のように悔し泣きして、1年間は失意のどん底にいましたね。それでもそんな私を見限らず、地元の友人たちが無理やり外に連れ出し食事に誘ってくれて……ようやく立ち直ってきた頃、2011年の東日本大震災が起こりました」

「自粛の影響で飲食店を経営する友人の窮地を知り、何かしたいと思って始めたのが、ブログで地元の飲食店を紹介する『おっかさんと群馬の外食を元気にする会』。飲食店を紹介する普通のブログはたくさんあったので、目立つために被り物を始めました――だって、お店に被り物している人がいたら、気になってお店の人や私に話しかけたくなるでしょ?そうした“かぶりものコミュニケーション”を意図したんです。そのうち『せっかく群馬のお店を紹介するんだから、群馬らしい被り物がいいよね』と考えて、鶴を被った“群馬の鶴子”がスタートしました」

活動を続ける中で「群馬には良いもの、素敵な人がたくさんいることを知った」という鶴子さん。現在の活動に繋がるまで、まさに山あり谷ありだったんですね……!

生産者とお客様の間に立って

分厚い取材手帳には“群馬ネタ”がびっしり 表紙デザインはやっぱりぐんまちゃんでした。

当時の活動は“仕事”ではなく“ボランティア”。県内の様々な飲食店を巡る中で「鶴子さん、その活動を仕事にしませんか?」と声を掛けられ、本格的にフリーの販売員としての活動が始まった。

「始めて販売した商品は、私の活動を『仕事にしませんか?』と誘ってくれたステーキ&ハンバーグ専門店GGCさんの『ぐんまバーガー』と『ステーキ串』。『上州どっと楽市』のイベントで販売員として商品紹介をしていると、『あの鶴を被った販売員は誰?』と興味を持ってくれた人や、私のブログのファンだという方が商品を買ってくれました。そこから“群馬の鶴子”を知ってもらい、イベントの広報担当者に声を掛けて頂いたり、“群馬のゆるキャラ”としてテレビドラマに出たり。良い商品を売ることはもちろん、“鶴子が販売する空間”をエンターテイメントとして楽しんでほしいと思って活動しています」

パワフルな販売トークが目立つが、丁寧な調査と取材も鶴子さんの持ち味。生産者の想いをやこだわりを引き出し、宣伝商品の売上増加やグランプリ受賞に貢献している。

「『JR東日本おみやげグランプリ2020』で北関東エリア金賞受賞となった『群馬ファーマーズプリン』は、プリンの祭典『P-1グランプリ』での販売を担当しました。会場内には鶴子の他にも“プリンの被り物をしたYouTuber”はいましたが、とにかくプリンのこだわりと美味しさをアピールしたところ、担当ブースにお客様が殺到!“食材の変態”と言いたくなるほど、美味しい食材探しが趣味のシェフが惚れ込んだ卵でできたプリンは本当に美味しくて、初出場にも関わらず準優勝という良い結果を納めることができました」

商品紹介や販売時の呼びかけのコツを伺うと「どんなに良い商品があっても、それだけでは見てもらえません。まずは存在を知ってもらうことが重要です」と鶴子さん。舞台女優を志していた頃のオーディションでの学びが活かされていると話す。

「私が鶴をかぶって販売することで、多くの方に良い商品へ目を向けてもらいたいと思っています。でも、商品販売や宣伝が仕事だからといって、忖度はしませんよ。鶴子を信用して購入するお客様の為にも、生産者とお客様の間に立つ第三者の素直な感想を伝えるようにしています。私が大事にしたいポイントは、“お客様と向き合うお店かどうか”ですね。良い商品・良いお店を見極めて紹介しようと考えています」

鶴子さんは実際にオーディションでも、「手を叩く」「呼びかける」といった注意を引くアクションをされていたそうです。多くの方にとって役立ちそうな発見ですね~!

“群馬愛”より“地元愛”

ファンの方が制作されたうちわ! 鶴子さんらしさが出ていて可愛いですね~

活動を始めて10周年。コロナ禍ではInstagramでの「インスタライブ」を主軸に活動し、さらに幅広く“群馬の良いもの”を発信し続ける鶴子さん。今後の活動について、目指す方向性と大事にしたい想いをお聞きした。

「“群馬の鶴子”として活動していると『“群馬愛”が強いんですね』と言われますが、本当の気持ちは“地元愛”ですね。失業した時に励ましてくれた友人や、何もない私を応援してくれる人たちに恩返しをしたくて活動を続けています。困っている友人の力になりたくて始めた“群馬の鶴子”という軸を見失わないように、大事にしたい人たちのためになる仕事をしていきたいと考えています」

インタビューの途中で鶴子さんが見せてくれたのは、分厚い取材ノートとファンの方が手作りしてくれたという応援うちわ。丁寧な仕事を伝えたい相手の顔が見えていることが、鶴子さんの原動力になっている。

「今後は鶴子がバイヤーとして、群馬の良いものを集めて販売することに挑戦していく予定です。『群馬を知らない、興味がない』という人が、ネットで鶴子の活動を見て、いつの間にか群馬の良いものを買って、群馬に来ちゃうのが理想ですね。だから私の活動を応援してくれる方には、『群馬の良いものを見つけたら、鶴子に教えてね』ってお願いしているんですよ。皆が気になる商品やお店を鶴子が紹介して、多くの人が良いものを楽しむ流れを作れたら、と思っています」

鶴子さんのインスタライブやイベント販売は、店主との距離が近く、商品と共に“人”の魅力を伝えてくれるところが特徴だ。最近は視聴者からのコメントやDMで「鶴子、これ知ってる?」と情報提供も多いという。同じ地元愛を抱く仲間が緩やかに繋がり、群馬の魅力が広まる輪が生まれている。

暮らしの場所や思い出の土地には、必ず思い浮かぶ“人”がいる。高崎の街にある人の力を信じ、これからも新たな魅力を探してみたいと思う。

群馬の鶴子

群馬の鶴子ブログ:https://profile.ameba.jp/ameba/hi-chiarita
群馬の鶴子Twitter:https://twitter.com/niceokusama

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この記事に関連するメンバー

西 涼子

どうも、こんにちは!
群馬県でフリーのライターをしている西(編集長)です!
地域を盛り上げる力は市民から!ということで、
イチ高崎市民の目線から、高崎市の魅力を発信しています。

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