高崎市飯塚町 映像制作で魅せる暮らし クリエーションチームが街をひらく
高崎市飯塚町の動画・映像制作クリエイションチーム『Black Tree innovation』、代表・井埜さんへインタビュー。各自治体で動画やSNSなど“メディア”を活用した取り組みが始まっている昨今、私たちはどのように「高崎を魅せて」行くべきなのかお話を伺った。
2020.09.18
高崎市と魅力
高崎市とプロモーション
高崎市の魅力を発信する施策、高崎シティプロモーション。全国的にもヒットとなった「絶メシリスト」に始まり「#インスタグンマー」「農Tube 高崎」など地域の場とインターネットを結ぶ取り組みが積極的に行われている。
今や地域は、リアルの場だけではない。多くの人と人との関係の中で、「高崎」という街のかたちが作られている。
『Black Tree innovation』
今回取材に伺ったのは、高崎市飯塚町。動画・映像制作クリエイターチーム『Black Tree innovation』の代表である井埜涼太(いのりょうた)さんにインタビューさせていただいた。「群馬県で高品質な動画を身近に、リーズナブルに」と活動するクリエーションチームは、デザイン・Web・3DCGやアニメーション・楽曲制作なども含めた幅広い分野の動画・映像制作を行っている。
各自治体で動画やSNSなど“メディア”を活用した取り組みが始まっている昨今、私たちはどのように「高崎を魅せて」いけばよいのだろうか。メディアプロデューサーである井埜さんのお話をヒントに、今できることについて考えてみよう。
近年注目されている動画・映像制作のプロにインタビュー
私たちの暮らしや地域のお店に役立つ情報がもりだくさんの内容をお楽しみください!
世界観をつくる
クリエーションチームのはじまり
井埜さんが代表を務める『Black Tree innovation』は、2020年2月にスタートしたばかりの動画・映像制作クリエーションチーム。チームメンバー全員が「副業」の場として活動を行うなど、パワフル&チャレンジングな雰囲気が持ち味だ。あるときはクリエイティブな映像制作を行い、あるときは看護師として医療の現場で働いているという井埜さん。彼が会社を設立するまでの歩みについて伺ってみた。
「20代の頃は音楽が趣味でバンド活動をしていましたが、仕事の事情で3年ほど休止。看護師としての基盤を固めながら、『また音楽活動をしたい、作曲をしたい』と思っていました。そこで30歳になる直前に『Sunset films』というバンドを結成し、看護師仲間と共に活動を始めます。僕は楽曲提供と動画や販促などのプロデュースを担当していて……それが現在の活動につながる、最初の取り組みでした」
バンド活動の中で“クリエーションチーム”を立ち上げ、バンドのプロデュースを始めたことが『Black Tree innovation』へ繋がったと語る井埜さん。バンドメンバーと二人三脚で活動するクリエーションチームの動画やSNS運営は、予想以上の効果があったという。
「『Sunset films』はライブハウスでのライブを一切行わない、既存のバンド活動とは異なる“メディア上だけで活動するバンドチーム”でした。バンドにブランディングをする為にメンバーからスタッフまでのキャラ付けを行い、Instagramのライブ配信やSNSでのMV(ミュージックビデオ)発信・オンラインでの物販などに挑戦。全国からファンが集まり、年に5~6回開催した200人規模のワンマンライブは『全ステージ・ソールドアウト』の大成功となりました」
「その時に僕が考えたのは『この経験を、企業や飲食店の集客活動に役立てられないか』ということです。MV作りやライブ演出などで体験した“映像・メディアの影響力”は、必ずこれからの時代に求められるパワーになると感じました。当時のクリエーションチームを元に、根本的な考え方や制作手法などは変えないまま『Black Tree innovation』の活動を続けています。自分たちが試行錯誤した経験と成功体験があるからこそ、お客さんの力になれる動画提供・アドバイス、またブランディングの構築ができているんだと思います」
「映像を活用した集客・ブランディング」や「SNSによる情報発信」など、バンド活動での経験を活かしたメディアコンサルタントも手掛けている『Black Tree innovation』
企業活動や暮らしに変化が求められるコロナ禍において、動画やメディアの力は重要になってくることまちがいなしですね!
アートチームのこだわり
「作曲した曲のイメージをもとに、映像イメージを作る」――バンド活動時代、作曲をしながらMV制作を手掛けていた井埜さん。アートチームとしての側面も強い『Black Tree innovation』の作品について、自身が感じる特徴を語っていただいた。
「『Sunset films』の時は『自分たちが作曲した曲のMVを、自分たちで制作』していましたが、作曲者と映像の制作者が同じということは他のバンドではなかなかないこと。僕らのバンドが成功した理由には、その経験――楽曲とMVの伝える“世界観”が一致していたことも関係しているんじゃないかとも考えています。曲や映像は作るだけでは届かない、伝えたい想いやイメージを上手に出せるかどうかの“魅せ方”が大きく関わっています。『Sunset films』は音楽と動画の伝える“世界観”がブレないバンド、ファンの心をうまく掴めたんじゃないでしょうか」
「今も動画を作るときには『撮影して編集するだけ』でなく、“世界観”を伝える作品にすることを大事にしています」と井埜さん。“世界観”を伝える作品――彼が“刺さるコンテンツ”と表現する動画について詳しく聞いてみる。
「動画・映像制作の依頼を受けた時、ただコンテンツを作るだけでなく『コンテンツを見た人の感情が動き、行動に繋がること』を大事にして企画を行っています。僕たちはそれを“刺さるコンテンツづくり”と呼んでいますが、時代に合っていてわかりやすいストーリー仕立てのコンテンツは“心に刺さる”。バンド活動の時に“世界観”を伝えることを大事にしていたように、企業理念やお店のコンセプトのイメージに合ったストーリーを動画作りで重視しています」
「動画をSNSやインターネットで広く展開することが多い今、わかりにくいコンテンツは逆に不利益を生んでしまうことが想像できます。僕らのチームは動画・映像制作以外にもSNS運営・Web・デザイン・3DCG・アニメーション・音楽制作……全セクションにおいて多才なクリエイターを配置しています。外注なしの一貫した制作は丁寧なコミュニケーションを取りながら企画・制作を行えますし、高品質で低価格なメディア提供を可能にしているんです」
つないで、ひらいて
ファンとつながる
感情に刺さり、行動に繋がるクリエーション――視聴者の心を動かすアートチーム『Black Tree innovation』の活動は、動画・映像制作に留まらない。井埜さんたちの活動について、具体的な事例をご紹介いただいた。
「営業提案の例として、『商品パンフレットの映像化』を提案させていただきました。これは実際に中小企業の現場で社長さんや社員さんとお話する中で感じたことですが、企業――特に中小企業の営業は、個人の力によるところが大きいですよね。その点、動画の営業力・商品訴求力は誰が見せても変わりませんし、パンフレットやチラシに動画のQRコードをつければ『より商品情報を知りたい!』という方に届けることができます。1分間の動画は、文字数に換算すると180万時程度。動画の力を利用し、アナログなパンフレットやチラシを利用することで、今まで以上の広がりをみせると考えています、」
「また飲食店のSNSを構築・運用してブランディングを行い、商品PRやCM動画を配信する活動も行っています。今はお店を探すとき、Webでキュレーションサイトやホームページを検索するよりも、instagram などのSNSを検索する人が増えているのをご存知でしょうか? タグやメンションといった機能で口コミ情報を調べてから、お店の情報を見るのが若年・中年層の主流。 “信頼できる口コミ情報”として拡散力のあるSNSの情報を絡め、お客さんに信頼してもらえるブランディングを行っています」
SNS運用は企業規模に関わらず営業のカギを握っているが、井埜さんは「SNSをしっかりと構築することが大事」だと話をしてくれた。ただ有料の広告を出すだけでは、ブランドやファンを作ることはできない。むやみに発信された情報は「ノイズ」としてマイナスの影響を与えてしまうこともある。
「僕たちがお手伝いしている飲食店は、新型コロナウイルスの影響で2月の売上が45%ダウンとなっていましたが、5月から始めた取り組みによって6月の売上は150%UP。お店と協力したこまめな情報発信やお店の良さを前面に出した投稿に、反響があることを感じています」
「SNSを使って新規のお客さんを得るのは簡単ですが、何より難しく・重要なのがリピーター(ファン)づくりです。お店と僕たちの力を合わせて、お客さんがワクワクするような発信をしてお店の力になりたいと思っています」
今後も動画制作に限らずお店や地域を盛り上げていきたいと語ってくれた井埜さん
メディアの力で支えるブランディングとファンづくりのお話は、高崎の「街づくり」にとってもヒントとなる予感です……!
地域をひらく
最後にインタビューでお話いただいたのは、今後の活動と高崎の“魅せ方”について。井埜さんの目線は、私たちの暮らしや企業活動の風景の中にどんな“コンテンツ”を見つけ出すのだろうか。
「メディアの活動を続ける中で気が付いたのは、街の中にある“狭さ”について。企業も街も、もっと視野を広げれば“新しい魅力”に気が付くのではないかと思っています。『動画パンフレットなんて大企業しか作れないと思っていました』『SNSのブランディング構築で、お客さんが倍以上になりました』……これは僕らがメディア制作をする中で、お客さんから頂いた感想です。外部の目線で企業・店舗の良さを再発見しながら、自社内のクリエーションチームのようにブランディングづくりをお手伝いしていければと思っています」
『Black Tree innovation』のメイン活動となっているのは、企業・飲食店での「映像制作の定額制サービス」。外部の専門家を取り入れることで効果的な情報発信・新たな魅力の発見など、世界や視野をひらくきっかけを作りだしている。
「僕たちのモットーは地域密着。映像制作や動画・Webやデザインの活用を活かして街の活気をつくるお店をサポートしていきたい、街をひらいていくお手伝いをしたいと思っています。今考えている新企画(Black Tree MAGAZINE)では、自分たちが取材した情報を発信することで、地域に貢献していきたいと思っています」
「マガジン風Instagram」と説明してくれた企画は、井埜さんたちが魅力的に感じた企業・飲食店・人物を画像と動画で紹介するSNSの投稿。雑誌風のテイストで気軽に見れることがポイントで、流行のお店だけでなく伝統工芸品の魅力や次世代を担う職人の姿も伝えていきたいとのことだ。
「メディア系の活動をしている自分たちだからこそ、地域に貢献できることがあると思っています。自分たちが高崎で暮らす中で見つけた街の魅力を、動画やSNSの力で発信していきたいです」
情報発信によって街を開き、私たちの中の暮らしを拓(ひら)く。ストーリー性を重視して情報発信する井埜さんの活動をお手本にすれば、私たちも1人1人ちがった街の魅力を見つけられるのではないか。
何気ない暮らしの中にこそ、未来へ伝えたい良さがある。あなただけの「高崎で暮らす」を伝えることで、街づくりに参加してみよう。
『Black Tree innovation』
住所:群馬県高崎市飯塚町368−1 柊ショップ6
Mail:info@blacktreeinnovation.com
この記事に関連するメンバー
西 涼子
どうも、こんにちは!
群馬県でフリーのライターをしている西(編集長)です!
地域を盛り上げる力は市民から!ということで、
イチ高崎市民の目線から、高崎市の魅力を発信しています。
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