高崎市江木町 よりよい街を目指し、地域の声を聞く仕事
高崎市江木町を中心に市内全域で活動する、高崎市議会議員の谷川さんへインタビュー!“行政の目線”と“市民の想い”を交えた議員活動の想いを聞かせていただきました。
2022.12.20
高崎市と行政
市民、企業、行政そして他地域が連携し、活気ある街づくりが進む高崎市。元々“商都”と呼ばれた街ならではの気風だろうか、新しい人や物・お店を分け隔てなく受け入れる地域性が“街の暮らしやすさ”を支え、多様な関係人口を増やしている。
しかしながら、実際にどのような街づくりの施策が行われているのか、事業者や市民がそれぞれどんなアクションを起こしているのかを知る機会は少ない。また街の未来に向けてアクションを起こす人は一握りであり、多くの地域で市政に関心を持つことや選挙へ行くことの大切さが呼びかけられているのが現状だ。
これまで『高崎で暮らす』で紹介してきた街の風景は、私たちの目に映る“毎日の景色”とは違うこともあっただろう。今回のインタビューをお届けすることで、自身の目線から見える地域と向き合い、これからの街の未来を考える時間を過ごしてみてほしい。
高崎市議会議員
今回取材で訪れたのは、高崎市役所の議会棟。議員控室へ案内してくれたのは、高崎市市議会議員の谷川留美子るみこ(たにがわるみこ)さんだ。2019年に高崎市議会へ初当選し、現在は高崎市全域をフィールドとして活動を続けている。
“市政をもっと身近に感じてほしい”と活動する谷川さんは「議員になる前は『将来、市議会議員になる』なんて考えたこともありませんでした」と話す。一体どのような想いで市議への道に進んだのか。“行政の目線”と“市民の想い”を交えた議員活動の想いを聞かせていただいた。
市議会議員として活動する前のことから、丁寧にお話をお聞かせくださった谷川さん!インタビューを読むと、皆さんの「市議会議員」のイメージが変わるかもしれません。
経理事務職から起業の道へ
高崎生まれ、高崎育ちの谷川さん。まずは市議会議員として活動する前のことからお話いただいた。
「最初に勤めた会社は生命保険会社の経理事務。当時の私は趣味、結婚、子育て、マイホーム……と、自分と家族のために働きながら、『人生の基盤を作りたい』と思って仕事に打ち込んでいました。バブル期には『保険会社は100年潰れないから大丈夫』と言われていましたが、金融危機となり状況は一変。毎日山のように届く解約依頼書類に対応しながら、『この期に及んで何もできない会社に将来はない』と感じ、勤続20年の節目に退職しました」
「その後はこれまでやりたかった“起業”に照準を合わせ、まずはパソコンを使えるようになりたくて職業訓練へ通いました。3か月のコースを修了すると、先生から『パソコン教室のインストラクターにならない?』と誘われて。そこでIT講習会の講師業を始め、自宅でパソコン教室を開業したり、店舗を借りたりと起業することになったんです」
2000年に構想された「e-Japan」の流れに後押しされ、谷川さんの開いたパソコン教室は大盛況。年間売上1000万円に到達し、グループ内で全国3位の人気教室になったという。
「非常に多くの方が通ってくださって、毎月15人くらいの新しい生徒さんが加入してくれました。でも、そんな仕事を3年くらい続けていたら……急に疲れてしまって。元々社交的で人に会うことが好きだったのに、突然辛くなってしまって、1年ほど誰にも会わない事務仕事を担当して引きこもったんです。『生徒さんに楽しんでもらおう、盛り立ててあげよう!』と思うあまり、自分のエネルギーを全部使っちゃったんでしょうね。結局、パソコン教室は他の方に譲渡して、会社と社員はWEB制作の会社(フォーユープランニング)として残す道を選びました」
行政との接点、“普通に働いてきた人”の想いを伝える
その後、谷川さんが選んだのは、再び会社員として働くこと。高崎市の公益社団法人である「シルバー人材センター」に経理事務として入職し、転機が訪れたと話す。
「引きこもりのリハビリを終えて、次に就職したのは『公益社団法人高崎市シルバー人材センター』の経理事務。これまでの経験を活かして入職した職場でしたが、民間の経理とは全然違っているし、経理が分かる唯一の前任者との交代採用でしたから苦労しました。11年ほど勤めましたが、外郭団体ならではの補助金業務にも携わるようになり、そこで初めて『行政の仕事』との接点が生まれました。市役所の人と会議をしたり、監査や補助金報告の手続きをしたり、今まで縁遠かった“市役所の仕事”を身近に感じるようになったんです」
50代後半になった時、定年を前に「まだまだ元気だし働きたい」と考えた谷川さん。「これまでは“自分の生活の基盤”を作るために働いてきたので、これから先は“他の人の役に立つこと”を目的に働きたいと思ったんです」と新たな道を模索した。
「最初に思いついたのは『NPO法人を作ること』でしたが、通信課程の大学で福祉について勉強している時、社会貢献できる仕事として『市議会議員』があることに気が付きました。今まで政治に関わってきたことはなかったし、周りに詳しい人がいたわけでもありません。でも、議員は“特別な人だけが引き受ける仕事”ではないことが分かったのです。高崎市の市議会議員は38人中、女性は当時、2人だけ。私のように民間企業で長く務めた経験を持つ方も少ないことがわかり、子育てをしながらフルタイムで働く“普通の人”の想いを、行政に伝えたいと思いました」
「『選挙に出る』とは決めたものの、選挙に詳しい人はいないし、夫も反対するし!(笑)。現役で働く友だちに『選挙を手伝って』とは言えなくて、最初は一人でチラシを配って挨拶してました。でもある時、私が選挙に出ることを知った同級生が『応援するよ』と言って、強力に応援し始めました。また、選挙のやり方を知っている人が後援会のつくり方を指導してくれたり、少しずつ輪が広がっていきました。『私、頑張っても良いんだな』と思えた経験でしたね。『女性の市議会議員が、市政に変化を起こしてくれるんじゃないか』と賭けてくださった方も多くいて、応援の声を力に頑張りました」
「日々の暮らしを支える行政サービス」は身近なものですが、意外と、行政に関わる仕事って遠い気がします。挑戦を決めた谷川さん、一体どんなお仕事を始めたのでしょうか……!
困っている人の声を聞く
初めて臨んだ2019年の選挙で見事上位当選を果たした谷川さん。議員として活動する上で最も大切にしていることは何か、当初の想いとエピソードを伺った。
「議員になって最初に思ったことは『とにかく困っている人たちの声を聞いて、力になろう』ということ。私も今まで40年間フルタイムで働きながら、家事や育児、介護を経験したからこそ“女性の大変さ”はよくわかるんです。だから女性や子ども、お年寄りの声を聞くことから活動を始めました」
今年の高崎市内の小学校では、「夏休みのプール」を中止する学校が多かったと話す谷川さん。子どもたちが楽しみにしているイベントが開催されないことに対し、多くの保護者の声が集まったと教えてくれた。
「当初は開催予定だった『夏休みのプール』が中止されたことには、多くの保護者の方の想いをお聞きしましたね。スイミングスクールに通っていない子どもにとっては貴重な練習の場だし、夏休みのイベントとして楽しみにしている子も多くいるので、その気持ちはよくわかります。コロナ禍とはいえ、開催できる方法はあったんじゃないか……?そんな想いを教育福祉常任委員会で訴えました。保護者の想いを学校に伝え、学校の事情をお聞きし、私は中間の立場で悩みました」
「両者の想いをちゃんと聞くと、どちらの考えや気持ちも理解できるんです。そこで『どうしたら納得のいく形になるか』を調整していくのが、私の仕事ですね。市民の人が聞きづらいことを代わりに質問したり、問題の背景を広く伝えたり。全てが解決できるわけではないですが、『困っている』という想いを聞くことから始めています」
「子どもの進路の悩みや不登校の問題、暮らしの中の相談など、一言で『困りごと』といっても多岐にわたるわけですが、そもそも情報や選択肢を知らないことで辛い想いをしている人が多くいます。私がそうした人たちに代わって調べ・お伝え・行動することで、高崎市が誰も取り残さない本当の意味で多様な街になれば嬉しいです」
フラットな街、高崎
街の声に耳を傾け市政に関わる谷川さんは、高崎を「誰もがフラットな目線を持ち、気軽に声を掛けてくれる“本音の街”」だと語る。市議として活動したことで見えてきた課題や想いは何か、より高崎の暮らしを良くするためのメッセージをお聞きした。
「市議として活動してみて、よく聞こえてくるのは『地域の交通』や『子どもの問題』です。危ない通学路の話だったり、お年寄りの移動支援問題、学校のことや不登校や発達障害の子どもの増加問題、保育所の制度に関する悩みetc…相談いただいたことは、その想いを市政にお届けしています。でも、街にはまだまだ“私が知らない問題”がたくさんありますよね。困っていること、悩んでいること、もっと良くなると思うことに気付いたら、議員を活用して暮らしを良くしてほしいと訴えて欲しいと思っています」
「私も以前は、『市議会議員に相談しよう!』と思うことはなかったし、そもそも何をしている人かわからなくて、相談どころか話もできませんでした。だから今は、色んな場所に行って気軽に話をしてもらえる関係づくりから始めています。どんな人かわからないと、相談できないですものね。FBやチラシで私の活動を発信し、知っていただくことで、少しでも私という市議会議員を身近に感じてほしいです」
「議員活動を『知らない人から色々言われて、嫌じゃないの?』と聞かれることもありますが、全然そんなことないですよ。頼ってもらえるのが嬉しいし、相談ごとを解決できたら喜んでもらえるし!解決できないことには理由があるので、ちゃんと説明することで皆さんわかってくれます。選挙の時に私へ期待してくださった方がいて、今の仕事ができているので、『よし、ちゃんと一票の仕事はしているな』と納得してもらえる仕事をしていきたいです。困っている人に変わって私が動く、本当に“世話焼き”が好きな私の天職です(笑) 」
「皆が良くしたいと思うことを聞いて、より住みやすい街にしていきたいですね」と素直な気持ちを話してくれた谷川さん。フラットで温かい街ならではのやり方が、これからの高崎らしい多様性のある暮らしを作っていくだろう。私たちも「まずはお互いの声を聞き、語り合う」ところから、始めてみよう。
谷川るみこ
事務所:〒370-0046 高崎市江木町1593-2
メール:renraku@tanigawarumiko.com
この記事に関連するメンバー
西 涼子
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群馬県でフリーのライターをしている西(編集長)です!
地域を盛り上げる力は市民から!ということで、
イチ高崎市民の目線から、高崎市の魅力を発信しています。
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