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高崎市新保田中町 産後ケアでまちを元気に! 身体を労わり、心をほぐすエクササイズ

高崎市新保田中町の女性専門エクササイズ教室、『てらぴす』代表の寺見さんにインタビュー。エクササイズによる産後ケアで叶えたい、“お母さんが元気なまちづくり”についてお話を伺いました!

2022.07.07

まちづくりの力

カラフルなウェイトやバランスボール……今回の取材はどんな場所でしょうか?

高崎市と女性

子育て支援に力を入れる高崎市。田町の「子育て支援センター」や子育て応援情報サイト「ちゃいたか」、「高崎市子育てSOSサービス」など、この街には独自の子育て支援が多様に整備されている。

人口減少の時代、「数年先も暮らしたい」と思えるまちづくりが未来の地域を支える力をつくる。これからを担う子どもたちへの支援はもちろん、子どもを育て・支える親世代を元気にする視点も大切にしていかなければならない。

 

 

インタビューに応えてくれた寺見さん。実際のスタジオへ伺って、体験しながらお話を聞かせていただきました!

女性専門エクササイズ教室『てらぴす』

高崎市新保田中町の住宅地を抜け、田畑に囲まれたスタジオへ足を運んだ。出迎えてくれたのは女性専門エクササイズ教室『てらぴす』の代表・寺見佳奈(てらみかな)さん。産後の不調に悩む女性をメインに、エクササイズによるボディケアを教えている。

「日本ではまだ、産後のケアが充実していないんです」と自身の経験を元にスタジオ運営を続けていると語る寺見さん。身体から心を整えるピラティスを通じて叶えたい、“お母さんが元気なまちづくり”についてお話を伺った。

子育て支援に力を入れる高崎市だからこそ「もっと深く知りた~い!」という方も多いはず。

男性や子どもがいない方にも知ってほしい記事になっておりますので、ぜひご覧ください◎

身体から心を整える

こちらがトレーニングルーム。写真中央に見えるのが、ピラティス用のマシンです!(写真提供:寺見さん)

身体と向き合う

寺見さんが現在のスタジオをオープンさせたのは4年前。2015年に起業し、パーソナルレッスンと託児スペースが取れるスタジオづくりを目指して活動をスタートした。

「私は身体を動かすことが大好きで、もともとはスポーツクラブのトレーナーとして働いていました。色々なお客様を担当していましたが、女性は妊娠・出産を機に運動から離れる方が多くて……。運動は“続けること”が大事ですから『女性は運動できない期間があって、もったいないな』と思っていたんです」

10年ほどスポーツトレーナーとして働いていた寺見さんは、自身も妊娠・出産を迎え産休に。当時のことをお聞きすると「だいぶ、無茶していましたね」と振り返る。

「一人目の子どもを産んだときには、早くインストラクターとしてレッスンに復帰したくて、産前にやっていたトレーニングをすぐに開始したんです。おかげで産後4か月ほどで職場に復帰しましたが……産後半年くらいしてから、身体に不調が出始めました」

「歩くのも痛いほどの股関節痛や、今までなかった腰の痛み・ぎっくり腰に悩まされました。慌てて以前からボディケアでお世話になっていた先生のところへ行きましたが、『産後に動きすぎだよ!』『もっと早く診せてくれれば良かったのに……』と言われてしまいました」

自身の身体と向き合う中で「どうすれば良かったんだろう?」と考えた寺見さん。“産後ケア”の存在を知り、身体を使うトレーナーとしての知識を活かして、現在の仕事に辿り着いたという。

「日頃から運動指導をしている私でも知らなかった“産後の身体の使い方・ケア方法”を学ぶ中で、他の女性にも知ってほしいと思い始めたことが起業のきっかけでした。様々な分野のケア方法を取り入れたオリジナルメソッドを作り、私の妊娠・出産経験を参考にしながら今の仕事をしています。実際に私が二人目の子どもを産むときには、産前から専門のケアを続けることで、不調なく産後を過ごすことができました」

 

「妊娠中の身体はお腹が重く、姿勢の崩れから痛みを感じる人は多いです」と寺見さん。新たな命を文字通り「命がけ」で産むお母さんたちを、優しく支えてくださいます……!

ピラティスとのであい

自らの身体を労わるケア方法の大切さを実感したことから、女性専門のスタジオを立ち上げた寺見さん。『てらぴす』の由来となった「ピラティス」というエクササイズを中心に、産後や更年期の不調に悩む女性に向けた指導を行っている。

「ピラティスとは呼吸とインナーマッスル(身体の内側の筋肉)を整えるエクササイズです。第一次世界大戦時の負傷兵士向けに考えられた“身体への負担が少ない動き”が特徴で、特に骨盤周りの歪みや姿勢の改善に効果があります。よく『ヨガとどう違うの?』と聞かれますが、一番の違いは『ヨガは心から身体を整え、ピラティスは身体から心を整える』ところでしょうか。腰痛に悩む人のために寝ながらエクササイズできるマシンがあったり、トレーニングの負荷を細かく調整できたり。身体を労わり整える中で、心も健康にしていきます」

「私も身体の歪みに悩まされたことがあって……」とピラティスとの出合いを教えてくれた寺見さん。中学時代まで習っていたクラシックバレエを大人になって再開したとき、以前交通事故で負った怪我の後遺症から「身体に左右差を感じていた」という。そんな時、講師の先生におすすめされたピラティスを始め、気になっていた身体の痛みや歪みを改善。そこから「身体をケアする動き方」の学びが始まった。

「助産師さんや理学療法士さんが通う産後ケアの勉強会にも通いながら、それぞれの良い部分を組み合わせてメニューを作りました。骨盤周りや呼吸で使う筋肉などをメインにケアし、産後や更年期特有の症状に合わせて身体を動かし回復させます」

「私が出産した時には『子どもがいるとしっかり運動できない』ことも悩みの一つだったので、託児サービスを付けたレッスンを行っています。また今はコロナ禍で人と集まることも少ない状態ですが、産後にお母さんたちが集まれる場所として、リフレッシュできる場づくりもしていきたいと思っています」

コロナ禍以前は、グループレッスンの終わりに参加者同士が交流を持つような時間もあった『てらぴす』。まだ油断はできないながらも、徐々に“ウィズ・コロナ”が進む暮らしの中で、グループレッスンの問い合わせは増えてきている。

「コロナ禍で高齢のお客様は減りましたが、産後ケアで来た方がお母さんと一緒にスタジオにきてくださったりと、少しずつ年齢層も広がっています。女性は筋力が落ちやすく、年齢を重ねると膝などを痛める人が増える傾向にありますね。自己流で“頑張りすぎちゃう”方も多いので、是非一度、自分に合った身体の動かし方をチェックしに来てほしいと思います」

 

「日本はまだまだ、産後ケアが充実していません」と寺見さん。ヨーロッパだと保険適用される国もあるそうですよ。

「身体を回復させるために、休む」だけでなく、「身体を回復させるために、動く」という考え方は、なんだか新鮮な気がします。

未来の「子育て」

長引く「マスク生活」で、肩や首などの上半身に不調を感じる人も多いのでは。マッサージなどで回復した体を維持するためにも、運動は重要ですよ!(写真提供:寺見さん)

共に育てる

スタジオに並ぶバランスボールや大型のマシン。実際のエクササイズを体験させていただきながら、トレーニングで伝えたい想いを伺った。

「お客様の半数以上は産後ケアを目的にいらっしゃる方が多く、『運動したい、体力を付けたい』『身体の見た目が気になる』というお悩みが多いです。人によって運動の程度・頻度が変わるので、ヒアリングをしてからトレーニングメニューを提案します」

ゆっくりとした動作で、呼吸に合わせて身体を動かすピラティス。寝たままの状態でグッと紐を引いてマシンを動かすと、首や腰には力が入らず、腹筋だけがピンポイントで鍛えられることが実感できた。日常動作では使わない筋肉も意識されるといい、普段動いている人でも筋肉痛になることは多いそう。トレーニング中の姿勢を見ることができる全身鏡に目をやると、自然と背筋も伸びていく。

「コロナ禍以前は病院や大きな会場で、産後ケアの大切さをお伝えする場がありました。今は感染防止のため大人数が集まることは難しいですが、たくさんの方にケアすることの大切さや方法を知ってほしいと思います。母親学級では赤ちゃんのお世話の仕方を教わりますが、そこでお母さんのケア方法も知れれば良いですよね。産後のケアは更年期の身体にも影響しますので、ぜひお父さんにも知ってほしい内容です」

「産後の1か月検診で許可が下りてから、半年以内にケアを行うと違いますよ」と寺見さん。「産後の女性は安静のために寝ていた方が良い」と昔から言われていても、忙しい現代、ずっと休める環境があるという人も少ない。

「産後3か月は腹直筋の離開などで筋肉へ上手く力が伝わらず、お腹やその他の筋肉を痛めてしまうことがあるんですよ。ある程度日常動作をすることは重要ですが、“産後にしない方がよい動き”は、周りの方に助けてもらってください。高崎市は子育て中の家事などをサポートする仕組みもありますので、赤ちゃんと過ごす時間を大事にしながら、自分の身体を労わってあげられると良いのかなと思います」

 

スラジオの看板は、寺見さんのお義母さまが手書きで作成されたのだそう……!美しい……!

優しい街

コロナ禍がもたらした孤独の中で、逞しく命を育てる“お母さん”は全国に多くいる。寺見さんの活動は、そんな女性たちを支える場の一つだろう。

「意外と皆さん、エクササイズをするうちに『身体のここが痛かった』『実はこんな不調がある』という話をされるんです。“産後だから身体が痛いのは仕方がない”と思って、口に出さない方が多いんでしょうね。『妊婦だから腰が痛いのは当たり前』『子どもを抱っこしなくなったら、肩こりもなおるはず』……そんな風に諦めないで欲しいんです。痛みは我慢しないで、ケアをすれば良くなると、多くの方に知ってほしいと思います」

産後は忙しく、どうしても“自分のことは後回し”になりがちなお母さん・お父さん。寺見さんは託児サービスを勧めることで、子どもと離れ自分に集中する時間を大切にしてほしいと語ってくれた。レッスンに通う中で体が整い、気付けば痛みが無くなったと喜ぶお客さんもいる。知らず知らずのうちに心にのしかかっていた重さが、“身体から心を整える”エクササイズでほぐれていく。

「託児サービスを頼むことを、(レッスンの最初は)遠慮するお母さんは多いです。それでも、お子さんと離れる時間を持つことで、改めて子どもとしっかり向き合うことができたり、子どもとの時間を楽しむことができると思います。また子育ての疲れと、自分の身体を動かす運動の疲れは違うので、スッキリするという声も多いです。自分の身体に集中する時間を過ごしてもらうことで、お家で子育てする時間を楽しく元気に過ごせればと思います」

「やっぱりお母さんに元気がないとね」と晴れやかな笑顔で取材に応えてくれた寺見さん。子育ての先輩からのメッセージは、孤軍奮闘するお母さんたちに優しく温かく届くことだろう。

子どもに優しい街は、大人にとっても優しい街――そんな当たり前を改めて心に刻みながら、一人でも多くの人が笑顔になるまちづくりを考えたいと思う。

女性専用コンディショニング・産後ケアスタジオ 『てらぴす』

住所 〒370-0003 群馬県高崎市新保田中町761−5
電話  080-5691-4624
営業時間 9:00〜19:00(日曜祝日定休)

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この記事に関連するメンバー

西 涼子

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群馬県でフリーのライターをしている西(編集長)です!
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