ささえる

江木町 音楽×子育て♪ 「生きる力」を育むリトミッククラブ

高崎市江木町の『リトルステップ♪リトミッククラブ』にて、講師のさかい みづほさんへインタビュー。近年、情操教育としても注目を集めている「リトミック」についての知識や「音楽×子育て」の新たな取り組みについてお話を聞かせていただきました。

2022.08.23

多様な“子育て支援”の街

音に合わせて声を出し、身体を動かす! 今回は元気いっぱいの子どもたちと共に記事をお送りします

これまでに高崎市内での様々な子育て支援について紹介してきた『高崎で暮らす』。リレー方式でつなぐインタビューでは、のびのびとした子どもを育てるための環境づくりや学びの支援、家族を支える仕組みづくりなどに力を入れる人が多く登場してくれた。

子育てに限った話ではないが、介護や環境などの新たな分野に街全体の関心が向いていることを実感する。多くの分野の“未来に向けた取り組み”を紹介することが、これからのまちづくりを考えるきっかけになってほしい。

 

『リトルステップ♪リトミッククラブ』

リトミッククラブとご自宅の教室の二拠点で活動されているさかいさん ご自宅ではピアノ講師として活動されているそうです♪

今回取材で訪れたのは、高崎市江木町の『リトルステップ♪リトミッククラブ』。1歳から小学校低学年までの子どもたちが通うリトミックスクールの代表を務めるのは、リトミック研究センター認定講師のさかい みづほさんだ。

音楽に触れながら身体を使って表現する力を育てる「リトミック」は、音楽教育としてだけでなく情操教育としても近年注目されている。高崎市内で始まった「音楽×子育て」の新たな取り組みについてお話を聞かせていただいた。

今回は子どもたちのクラスにお邪魔しつつ、取材させていただきました!リトミックを楽しむ子どもたちのパワーを感じながら、お読みいただければと思います♪

音楽を楽しむ「リトミック」との出会い

教室に置かれた楽器はタンバリンやピアノ、木琴など……子どもたちは自由に音を鳴らしながら遊んでいました

幼い頃から音楽に親しみ、前職も音楽関係の仕事をされていたというさかいさん。“音楽を楽しむこと”を突き詰めた先で出会ったという、「リトミック」を知ったきっかけからお聞きした。

「小さい頃からピアノを習っていた私は、高校・大学と音楽系の学校に進学しました。学校のテストやコンクールは“順位のでる音楽”ばかり。私はそこに少し辛さを感じていて、もっと楽しく音楽に触れたいなと思っていたんです。そこで、大学ではレコーディングエンジニアやPA、映像の勉強を始め、音楽を制作する仕事に新たな楽しさを見つけました。就職後はローディーとしてコンサートツアーをまわったり、マネージャーとしてCDやライブを制作したり。とにかくハードな仕事でしたが、音楽を作る仕事は面白かったですね」

「その後、結婚を機に退職して、主人の地元高崎へ。子どもが生まれた時に思った事は『音楽は楽しいから好きになってほしいな』という気持ちと、『私のように、音楽に嫌々触れるような経験はしてほしくないな』ということでした。『楽しい音楽って何だろう』と調べる中でリトミックを知り、学び始めたのですが……ものすごく楽しくて、のめり込んでしまって!資格を取って、娘や娘の友だちに『やらない?』と誘うところから、今の活動が始まっています」

子どもの頃の習い事や勉強を嫌々やっていた経験のある人は多いだろう。「大人になってからは『ピアノを練習してきて良かった』と思うんですが、当時は練習が嫌で挫折してしまって」と自身の苦い経験を振り返るさかいさん。音楽の素晴らしさに気付いていたからこそ、これから音楽に触れる子どもたちには嫌な思いをしてほしくないと決意した。

「最初はリトミックを教えるというより、周りの人を誘って一緒に遊んでいたという感じですね。だんだん『私もやってみたい』と声をかけてくれる人が増えてきて、サークルを立ち上げたり、市内のサークルに呼んでいただいたり。5年ほどそんな時期を過ごし、2017年に現在の教室を立ち上げました」

江木町の貸しスタジオで定期的にリトミック教室を開催しながら小八木町の自宅でピアノ教室を行い、高崎市の社会教育講師も務めるさかいさん。音楽のある街・高崎で、子どもたちに広く音楽の楽しさを伝える活動を続けている。

 

身体を動かし音を感じる親子の時間

お気に入りのスカーフを手に、元気に駆け回る子どもたち!
曲のテンポに合わせて走ったり、ゆっくり歩いたり、元気に手を振ったり、しょんぼり手を揺らしたり……

『リトルステップ♪リトミッククラブ』では、スイスの音楽教育家、エミール・ジャック=ダルクローズ氏の考案したリトミックにアレンジを加え、音楽のある楽しい時間を過ごすことができる。リズムに合わせて手を振り、楽器を演奏する時間はあっという間。クラブでの活動内容と、さかいさんが伝えたいリトミックの良さについて伺った。

「1年を一つのステップとして、1~2歳の子どもから小学校低学年くらいまでの子どもが通っています。小さなお子さんは親御さんと一緒に音楽を楽しむ時間を過ごすことをメインに、音やリズムを聞いて身体表現をしてもらいます。例えば私がピアノで『さんぽ』の曲を弾いたら親子で歩いて、音楽が止まったら脚を止める。テンポが早くなったら駆け足で進み、テンポが遅くなったらゆっくり歩く……といった具合に音を聞きながら反応していただきます」

「年齢が上がると子どもだけのクラスになり、触れる楽器が増えたり、音符記号やドレミの音を当てるような要素も加わります。子どもたちは飽きるのが早いので、レッスンは“テンポよく”進めていくことを心掛けています。子どもたちは自分が知っていることだと力を発揮して、楽しく生き生きと活動してくれるので、同じ活動を繰り返し行うようにしているんですよ」

「またレッスンの中ではお子さんだけでなく、親御さんも楽しく笑顔になれるよう意識しています。お父さん・お母さんが笑顔だとお子さんも嬉しいし、逆もまた然りですよね。小さい頃に親子で過ごせる時間ってあっという間で短いので、その時間を大切にしてもらって、音楽を楽しみ・子育てを楽しんでもらえたらいいなと思っているんです」

実際に見学させていただいた1~2歳の子どもたちが通う教室では、親子で手をつなぎながら音に合わせてスキップをしたり、子守唄のメロディーが流れたら全員で床へ横になったりするシーンがあった。どちらも難しい動きはなく、「楽しいね、面白いね」と親子がアイコンタクトを交わす様子は、家族の日常の一コマだと感じられた。

「リトミックは“習い事”ではなく、“遊びに来てもらう”って感じです」と話すさかいさんの言葉通り、親子で遊ぶ・友だちと遊ぶ時間を楽しむ場所が『リトルステップ♪リトミッククラブ』の魅力となっている。

音楽が苦手でも楽しめる、大人も子どもも楽しいクラス。

取材を通じて元気をもらった編集長でした💛

リズムも音符も“体で覚える”リトミックの良さ

「せんせー、ここって1番の音?」「タンタタンのリズム?」とこれまでの学びを活かして演奏する子どもたち
難しそうに見える譜読みや合奏も、楽しくおしゃべりしながら取り組んでいましたよ~

続いて「ちょっと音楽的な話になりますが……」とお話しいただいたのは、リズムや音符を“体で覚える”ことの良さについて。年中~小学生向けのクラスでは「ピアノの音を聞いて、対応する音の動きをする」「音符のリズムを読み取って、リズム通りに足踏みをする」といった遊びも登場する。さかいさんがリトミックを通じて子どもたちの中で育ててほしいものとは何か。実際のレッスン内容と合わせて教えていただいた。

「私のリトミッククラブでは、広い教室でたくさん身体を動かせるようにしています。身体全体で覚えたこと、例えばリズムに合わせて手拍子やステップをすることは、ピアノでリズムを練習するより習得が早く、忘れないと言われているんですね。手拍子のリズムと足踏みのステップが違う遊びに慣れていれば、ピアノで左右の手が違うリズムの演奏をすることがスムーズになります。これは実際にピアノ教室の生徒さんが行う練習方法でもあるんですよ」

「二拍子」の曲は二つの丸、「三拍子」の曲は三つの丸が置かれたところを歩く……歩くことを通じて、自然と「拍子の取り方」が分かってきます

「音符カード」という四分音符や八分音符が書かれたカードを見て、音符の長さを覚える遊びもある。子どもたちは「カードに書かれた音符の名前」こそ知らないが、音符の長さを体感して習得しているため、譜読みから演奏までの成長が早いそう。また、リズム感の良さは音楽分野以外でも力を発揮する。

「私の娘は体操をしているんですが、娘から『私は跳び箱を飛ぶ時の“走るリズム”がすぐにわかった。リトミックをやっていて良かった』と言われたことがあります。リトミックを通じて様々なリズムで動くことや体の動かし方を知ったからこそ、助走と踏切のリズムがすぐに習得できたんでしょうね。球技で球を投げたり打ったり、スポーツの中でジャンプしたりするのにも、リズム感は大事になってきます」

「だからこそ、なるべく音をたくさん聞かせて、たくさん動けるリトミッククラブを目指しています。初めて体験される方からは『こんなに身体を動かすんだ!』と驚かれることもありますし、『リズムを感じられる教室が良いと思って』と市外から通ってくださる方もいます。音を聞く、歌う、作品に触る……そういう体験って、小さい子は誰しも好きなことですよね。音感やリズム感は勝手にあとから付いてくると思うので、音を聞くことや身体を動かすことを楽しんで、元気に育ってほしいと思います」

生きる力を育む時間

少人数制にすることで、一人ひとりとコミュニケーションを取りながら活動するリトミッククラブ
「親御さんとお話することも大切にしていて、お子さんの成長を一緒に見守らせていただければと思っているんです」

親子で共に身体を動かし、友だちと遊びながら学ぶリトミッククラブ。最後にさかいさんにお聞きしたのは、“生の音”を聞く体験で育む「これからを生きる子どもたち」へのメッセージだ。

「リトミックを説明するのって難しくて、普段は『え?』って思われちゃうから言葉にしないんですが……やっぱり最終的な目的は『人間力を養う・生きる力を付ける』ことだと思っています。私が演奏する楽器の音を聞くことで聞く力や集中力を育てたり、音楽に触れる中で想像力や表現力を伸ばしたり。そして何より、親や友だちと楽しい時間を過ごしたという“幸せな思い出”が、これからの人生の中で心の安定につながるのではないかと考えています」

「私はクラスの中で、ピアノや楽器を演奏し“生の音”を聞かせてあげることにこだわっています。リトミックには『即時反応』といって、今日の演奏と明日の演奏が違う――曲の早さや音がストップする場所、転調して曲調が違うかもしれない――から、“その時に聞いた音”に合わせて反応する力が付くんですよ。CDの音楽を流して踊るダンスや音に合わせて習った振り付けをするお遊戯との違いは、その場で聞いた音楽を、身体で自由に表現すること。これがとても大事なことだと思うんです」

知らない場所へ行ったとき、想定外の事象に直面したとき、新たな人と関係を築くとき――今に耳を傾け、適応する力は、子どもも大人も求められているものではないだろうか。

「私は自分が子育てをする中で、難しく思うことや悲しいこともありました。だからこれからは音楽の力で、皆で楽しく子育てできる時間や場所をつくれればいいなと考えています。例えば、いつでも誰でも来ていい場所があって、ピアノを弾いて歌を歌ったり、街の人とおしゃべりできたり。皆で子育てして、皆で大きくなって、皆で楽しめる場所をつくれたらいいですよね」

「最近は開催できていませんが、以前は『あおぞらリトミック』という活動もしていました。公園などの屋外に楽器を持ち込んでリトミックをするんですが……自然の中で音楽と共に活動するのってすごく楽しいんですよ!今は公園を借りる制約が厳しくて、なかなか実現できていませんが、またやりたいなと思っています。今の子どもたちは忙しくて遊ぶ時間がなかったり、学校や公園で遊べなかったりするので、いっぱい遊んで音楽に触れるリトミックで子どもたちの心と体を満たしてあげたいです」

不確かな今だからこそ、生きる力を身につけてほしいと願うリトミッククラブの活動。街に生まれた楽しい音の響きに「これからの未来を生き抜く力」を教わりながら、共に成長していく社会を考えてみたいと感じた。

 

リトルステップ♪リトミッククラブ

住所:高崎市江木町1501−2 アートビル2F
連絡先:090-6562-9121 / jacojacofunkymusic@gmail.com

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この記事に関連するメンバー

西 涼子

どうもこんにちは、群馬県でフリーライターをしている西(編集長)です!
地域を盛り上げる力は市民から!ということで、
イチ高崎市民の目線から、高崎市の魅力を発信していきます。

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