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高崎市倉賀野町 旅人と地域が出会い、まちの未来を育むゲストハウス

高崎市倉賀野町の『​高崎ゲストハウス&カフェ さんぽ屋』店主・永田さんにインタビュー
元・高崎市役所職員である永田さんがゲストハウスを立ち上げたきっかけと目指す場の姿
そして、地元・倉賀野町への想いを伺いました

2026.10.25

歴史が残る倉賀野町

リノベーション前の外観を活かした店舗 外にいても、店内の楽し気な雰囲気が伝わってくる(※写真提供:さんぽ屋)

高崎市の中でも歴史を色濃く残す倉賀野町。旧中山道が通る地域は江戸から12番目の宿場町として知られ、川岸船場のある「水運の要衝」として栄えていた。記録によると「幕末の河岸には100隻の船、旅籠屋も64軒あった」と言われるほど、人と物が溢れる地域だったという。

今も倉賀野町には、当時を思わせる建物や石碑、街並みが残る。かつて多くの人と物が行き来していたまちは、これからどのような地域として発展していくのだろうか。今回は新たな地域の拠点となりつつある、ゲストハウス兼カフェを訪れた。

高崎ゲストハウス&カフェ さんぽ屋

取材に応えてくれたのは、『​高崎ゲストハウス&カフェ さんぽ屋』店主の永田和也さん。倉賀野町出身で、元・高崎市役所職員。地元である高崎が好きで「地元をいい街にしたい、地元で楽しく過ごしたい」という想いが今につながったと話す。現在はゲストハウスのオーナーであり、同店で腕を振るう料理人でもある永田さんは、どちらも今回が初挑戦の仕事とのこと。「サラリーマン家庭で育ったので、まさか自分がお店をやるとは想像していませんでした」と振り返る。

地域やまちづくりに興味が出たのは、市役所職員として働いていた頃。入職10年目に経済産業省へ出向し、地域の中心市街地活性化をサポートする仕事に携わったことがきっかけだった。

「各地域のまちづくりの現場を知り、その土地のキーマンとお話したことはすごくいい刺激になりました。中でも、当時(平成29年)北陸新幹線で延線し賑わっていた金沢で、『金沢はこのままじゃだめだ』と危機感をもって様々な仕掛けを企画していた人たちがいたことに衝撃を受けましたね。同じく新幹線が停車する駅である高崎ではどんなことをしているのか気になって、高崎の街やまちづくりに目を向けるようになりました」

「でも、市役所に戻ったら地域づくりとは関係ない課に配属で……」と笑う永田さん。職務は違ったが、街のことを知りたいという情熱から地域に飛び込んだと話す。

「市役所の先輩に『もっと街の人と知り合った方がいい』とアドバイスをいただき、街中のお店やイベントに足を運ぶようになりました。そこから、地域のために活動している人と知り合い、街中でお店を営む方々とお話するようになったんです。仕事ではなかったからこそ、とことん自分の思うようにやってやろう!と火が付いたのかもしれません」

自治体職員からプレイヤーへ 地元・倉賀野で新事業に挑戦

賑やかな店内の様子。カウンターに座れば、常連さんや永田さんとの会話も楽しめる。(※写真提供:さんぽ屋)

まちや人を知るうちに、自らも「まちづくりのプレイヤーとして活動してみたい」と考えるようになった永田さん。最初に立ち上げたイベントは、2019年に中央銀座商店街で開催した「大船渡浜焼き大会」。東日本大震災で被災した岩手県大船渡市の復興支援と高崎市の中心市街地のにぎわい創出を目的にしたイベントだった。

「高崎市は大船渡市へ災害派遣を行っていたのですが、そのつながりから大船渡市で復興支援に取り組む群馬県出身の方や地元の方と仲良くなり、全国で開催されていた浜焼きイベントを群馬でも実現することになりました。サンマやホタテなどの海の幸を楽しみながら、震災のことを周知するきっかけづくりとして開催し、多くの人に楽しんでいただきました」

大船渡浜焼き大会の様子。2019年と2020年の2年間開催された(※写真提供:さんぽ屋)

その後も市役所職員として働く傍ら、地域内でのイベント企画やまちづくりの場に足を運んだという永田さん。2020年には企画調整課に配属され、移住担当としてまちづくりを支える立場にもなった。

「高崎市は転出入者が多い街なので、移住者の存在って意外とわからないですよね。移住担当として働く中で気づいたのは、ただ仕事や学校の都合で引っ越す人たちよりも、移住者は“街に溶け込みたい”“地域で何かしたい”という可能性を求めて来ている人が多いということです。そういう時に、地域の人と知り合える場があって、何かしたいという人を応援できる力になれたらいいな、と思いました」

その後、コロナ禍となり、ロックダウンにより飲食店などが苦境に。市役所職員として対応するも「何もできないもどかしさを感じた」と永田さん。「同じプレイヤーという立場で“仲間”の力になりたい」と決意を固めた。

「地元を拠点に地域内外の交流を増やしたい」という思いからスタートした、ゲストハウス兼カフェバー

「今の店舗を作る際に大きな影響を与えたのは、高崎市椿町のカフェ&ゲストハウス「灯り屋」さんです。旅人と地域の人が同じカウンターで語らうような場があり、私も旅人と何度か話をしました。その中で、旅人に『高崎はどんな街ですか?』『いいところを教えてください!』と言われた時に、答えられなかった自分が悔しくて。逆に『高崎はここがいいですね』と教えてもらう視点は新しく『市内外の人と話ができて、刺激を受けられる場所がもっと地域にあったらいいな』と考えるようになりました」

かつて宿場町だったという歴史からも着想を得て、旧中山道沿いの空き店舗を改修。飲食業と宿泊業のどちらも初めての挑戦だったが、とにかく「やるしかない」と突き進んだ。カフェの看板メニューとなるカレー作りも独学で学び、市内の店舗を巡って試行錯誤をしながら開業準備を進めた。14年間務めた市役所を辞め、2022年に『​高崎ゲストハウス&カフェ さんぽ屋』をオープン。1階はカウンターとテーブル席があるカフェ&バーとして地域にひらかれ、2階は旅人限定の宿泊施設として営業する。

「やっぱり“地元でやりたい”と思ったからですね。年々お店が少なくなっている場所だからこそ、もう一度盛り上げたいという気持ちで活動しています」

一人一人の挑戦が、まちの新たな魅力をつくる

おすすめは2種盛りカレー。週替わりのカレーと定番カレーを組み合わせてオーダーすることができ、旬の美味しさを楽しめる。

現在、カフェでは週替わりのオリジナルカレーと桐生市のブリュワリー「Bryü(ブリュー)」のビール、そして、高崎市や藤岡市のロースターが焙煎したコーヒーなどが楽しめる。食と会話を目当てに地域内外から様々な人が訪れ、旅人との交流も生まれはじめている。

「1階の大きなガラス張りを活かして、中の様子が見えるようにしました。やっぱり、街中で人が楽しそうに過ごしているのがわかることが大事だと思います。倉賀野町には面白い人が多くて、まちづくりを頑張っている人もいますが、地域の外からは見えにくいかもしれません。自分たちが楽しみながら活動する姿を、地域内外の方に知ってもらいたいですね。個人的にはすごく可能性がある地域だと思うので、よりこの地域を好きになれるようなまちづくりをしていきたいと思っています」

「新規農園を始めた方や廃材の利活用に取り組む方など、本当に色んな人がいるんですよ」と、店舗を訪れる人たちを紹介してくれた永田さん。さんぽ屋という地域にひらかれた場所に人が集うことで、まちに新たな動きが始まりそうだ。

また、当初の想いである「移住者への支援」については、不動産屋やアカデミアと連携し、地域の空き家を活かしたまちづくりの仕組みを検討している。特に、地域の魅力を支える個人店を増やすべく、開業ノウハウの提供や地域とのつながりづくりに力を入れたいという。

「飲食店をやりたいという人の相談に乗ったり、学生がやりたいことをできる場所づくりをしたり、色んな方向から地域を良くしていきたいですね。今は前橋の街中に若い人がたくさん出店していますが、倉賀野にもそんな雰囲気が生まれて、誰もが気軽に挑戦できるまちになればと思います」

街の歴史を活かしながら、新たな地域の形をつくる拠点「さんぽ屋」。少人数限定のカウンターには、常に誰かの『やりたい!』を歓迎する温かな空気があった。目の前の店主が、もしくは隣り合う人が、あなたの挑戦を後押しする力となってくれるかもしれない。

永田さんの「住みたいまちは自分で作る」という言葉が心に残る取材となった。

高崎ゲストハウス&カフェ さんぽ屋

住所:群馬県高崎市倉賀野町1214
営業時間:ランチタイム:11:30 - 14:00 カフェタイム(土日祝):14:30 - 17:00 バータイム:18:00 - 22:00(L.O.21:30)
定休日:毎週水、木曜日および不定休
駐車場:倉賀野神社北側に10台

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この記事に関連するメンバー

西 涼子

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群馬県でフリーのライターをしている西(編集長)です!
地域を盛り上げる力は市民から!ということで、
イチ高崎市民の目線から、高崎市の魅力を発信しています。

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